なにとぞよしなに

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カントの人間学~カントの素顔に迫る本、想像以上に現代人に通じるところを感じた

中島義道のカントについての研究本

僕のカントについての知識はせいぜい「純粋理性批判を書いた」くらいのものしかなく思想的な部分についてもほとんど知識はないですが、カントについて知る一つのきっかけにでもなればと読んでみました

 

内容的にはカントの哲学的考察を引用しつつ、じゃあ実際のところカントとはどういった人間だったかということに迫っていくといったもの

カントに限らず、偉大・有名な哲学者は変人奇人が多いのは間違いないですが例に漏れずカントもなかなか一筋縄ではいかない人物だったようです

 

特にカントについて一貫して語られ続けるのは、彼が非常に「人間嫌い」だったこと

幼少期の極貧生活での経験を通して得た人生訓に基づいて、生涯恋愛も友情も借金も遠ざけ続けたという推察が心を打ちます

しかし、現代日本に目を向けてみると必ずしも極貧生活から生まれたものではないだろうとはいえ「生涯恋愛も友情も借金も遠ざけ続けた」という観点からすれば、カントの性格を他人事として捉えることがどれだけの現代人に可能なのか

逆に言えばカントから(決してカント哲学からに限らないで)得られる認識は現代でも相当高いレベルで通用するのではないかと考えられます

 

あとがきでは「モラリスト」という観点に言及されていますが、どうもここでいう「ぎりぎりモラリスト」である哲学者に対して僕は個人的に興味が湧きやすいようです

個人的に好きな哲学者であるデカルトもおそらくこの本でいう「ぎりぎりモラリスト」的な存在であると思いますし、ね

(そう考えて適当にググってみましたが、もしかしたら僕が考えていたよりもデカルトモラリスト度は高いのかもしれない…)

 

この本からは、カントについての知識に限らず、今後いろんな本を読んでいく上での一つの観点を得られたような気がします

 

 

カントの人間学 (講談社現代新書)

カントの人間学 (講談社現代新書)